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そのさくはひつようか

その柵は必要か

宮本 百合子

「新日本文学」1949(昭和24)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,783 字 · 30 页

青空文庫

というレーニンの人間らしい洞察に立って具体的モメントをさがしてゆくと、サークルの端緒的な文学的活動の可能性は豊富で、一方には小説や詩をかく人、そのほかは愛好者たちとわけただけでは、あまり多くの潜精力が眠らされることがわかって来る。

徳永直は専門家の立ちおくれの克服にふれて、「専門家と現在職場にあるものとが、手を握って共同的にやらなければ」前進的な文学は発展しないと云っている。そのことは、組合の文化的成果の例からも云われるであろう。

産別会議情報宣伝部が編輯し、出版した『官憲の暴行』という戦後労働運動弾圧の記録がある。現場の労働者によってかかれたらしいこの記録が、もっと各現場組合の文学的能力を生かしていたら、どんなに浸透的で永続する読後感を一般の読者に印象づけることができただろうかと、残念に思った。強い組合から新しい作家がより多くでる傾向があるといわれている事実と考えあわせて。また、徳永直が、愛光堂の事件には、現場へも接触をもっていたような話をきいたことを思いおこして。

民主的な作家がサークルに接触するときはその作家として一つの作品をつくるためばかりでなく、サークルの人々そのものの成長のために考える必要がある。