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そのさくはひつようか

その柵は必要か

宮本 百合子

「新日本文学」1949(昭和24)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,783 字 · 30 页

青空文庫

それに対して徳永直は、鈴木茂正のその言葉をきいたら「船山は怒るよ」といっている。「船山は船山流で世の中には宿命しかないといったふうな考え方が真実と思い追求しているよ。真実を追求しているという点では彼もそのつもりでいるわけだ。ただ追求のし方の方法が違うわけだ。それからそれに対する観念がね。」

徳永のこの答は、何だか変な気がする。鈴木茂正も徳永直もひとくちに専門家と云っているけれども、実際には専門家の中にも民主的作家としての専門家、過去の文学の枠内での専門家、また商業主義的なジャーナリズムの上に発生している作家としての専門家の間には、はっきり区別がある。その区別は本質的なものである。ひとくちに専門作家といっても、船山馨と志賀直哉、またこの二人と徳永直とが同じ本質に立つ作家だろうか。もちろんわたしたちはそう思っていないのである。

民主主義文学は、小市民の生活感情や現実のうけとりかたにたってかく作家も疎外しない。しかし、それは、その人なりの世界のうちに暴力的な支配や、戦争や、一般人間性をころす力への抗議がふくまれているという時に、民主的な方向へのつながりができるのである。