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でたらめきょう
でたらめ経
宇野 浩二
「伸びて行く 第六卷第一號」目黒書店、1925(大正14)年1月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,418 字 · 11 页
「それで、そのわたしは、」とおばあさんは相変らずゆっくりと、「そうして毎日ひまさえあると、鉦を叩いて拝んでいるのですが、ただ拝んでいるばかりで、お経の文句を少しも知らないもんですから、誠に不自由をしているんでございます。それで、旅の方、わたしのお願いというのは、お経の文句を教えていただきたいので、それならわたしに早速有難くつかい道があります訳で……」
「お経の文句!」と旅人は頓狂な声でいいました。何故頓狂な声でいったかというと、旅人は生憎お経の文句なぞ少しも知らなかったからでした。おばあさんはそんなこととは知りませんから、
「ね、旅の方、お見受けしたところ、あなたはお立派な方だから、きっとお経の文句を御存知に違いない。どうぞ、ほんの少しでも宜いから教えて下さいませ、お願いでございます、」と頼みました。
お立派な方、といわれたので、旅人は嬉しくなってしまいました。これで、お経の文句を知らないなぞといったら、恥かしいわけだと思いましたので、
「そりゃお経の文句ぐらいなら知っているが……」と答えました。
「御存知なら、どうぞ、旅の方、是非お教え下さいませ。実はこれまでにいろんなお方にお願いしたのですが、この辺を通る方に、お経の文句を知ってる人が一人もありませんので……今日こうしてあなた様がお見えになったのは、ほとけ様