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なよたけ
なよたけ
加藤 道夫
「三田文学 四・五月号、六月号、七・八月号、九月号、十・十一月号」1946(昭和21)年5月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,415 字 · 163 页
みんがくや 翁
なよや なよや
〔わらべ達の合唱〕
なよや なよや なよや
〔竹取翁の唄〕
竹や竹 竹の山
その竹山に 竹籠をやは編まむ
なよ竹籠をやは編まむ さら さら
さらさらに わがな 我名は立てじ
ただ竹を編む よろずよや
万世までにや ただ竹を編む
さら さら さら
〔わらべ達の合唱〕
なよや さら なよや さら
なよや さら さら さら
唄の途中から、上下幕が静かに上る。
幽麗なる孟宗竹林に囲繞せられたる竹籠作り讃岐ノ造麻呂の家。
舞台右手には、その家の一部。土間と居間がある。すべて竹で意匠せられている。
奥手は一面、無限と思われるほど、深邃なる孟宗竹林、その中を通って、左の方へ小路が続いている。
舞台一面、耀く緑の木洩日に充ち溢れている………
家の土間には、造麻呂が坐り込んで「唄」をうたいながら青竹を籠に編んでいる。
その背後には六人のわらべ達が並んで立っている。なよたけの和琴の音は、右手の竹簾の向うの奥の間から聞えて来るらしい。………
「唄」が終ると、なよたけの弾いている美しい和琴の音だけがひびき残る。