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なよたけ

なよたけ

加藤 道夫

「三田文学 四・五月号、六月号、七・八月号、九月号、十・十一月号」1946(昭和21)年5月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,415 字 · 163 页

青空文庫

……みのり! 空へお飛ばし! お天道様が一番いい所へ連れて行って下さるわ。

みのり (空へ向って吹き飛ばす)

みんな、嬉しそうに、たんぽぽの種子の飛んで行く方を見上げる。

なよたけ 飛んで行け! 飛んで行け! 微風に乗って飛んで行け!……誰も知らないしあわせな所へ飛んで行って、綺麗なお花を一杯咲かせておくれ!

わらべ達、その行方を見上げながら、誰からともなく「唄」をうたい始める。

〔わらべ達の唄〕

なよ竹やぶに 春風は

さや さや

やよ春の微風 春の微風

そよ そよ

なよ竹の葉は さあや

さあや さや

なよたけ みんな御覧! ほら! 竹の梢に、陽炎がゆらゆら揺れている。……この竹の林は、何でもかでも、お天道様のお恵みで一杯だわ。小鳥達も、蝶々も、蜜蜂も、たんぽぽも、みんなお天道様のおっしゃる通りに、本当に素直に生きてるのよ。人間達みたいに騙したり騙されたりすることがないの、嘘をつくってことがないの。間違ったことを言ったりしたりすることがないの。……ああ、こんな限りもない広い天地の中にいて、どうして人間達はみんなこせこせしたつまらないことばかりするんでしょうね! 自分では何にも気がつかないで、困った間違いばっかりやっている。