轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
なよたけ
なよたけ
加藤 道夫
「三田文学 四・五月号、六月号、七・八月号、九月号、十・十一月号」1946(昭和21)年5月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,415 字 · 163 页
しばし当惑)
なよたけの弾く琴の音。
御行 (琴の音に気付き)……あの琴は、……あれは、あのひとですね?
造麻呂 へえ………
琴の音。長い間。
御行 (もはや耐えかねたような詠嘆調にて)ああ、何と云う妙なる楽の音だ。……これが、このあじけない現世のことなのだろうか?………いいや、これはもう天上の調べだ。私にはあのひとの白魚のようにかぼそい美しい手が眼のあたりに見えるようだ。あのひとの月のように澄みきった心が隈なく読めるようだ。……あれこそは、あのひとの清らかな魂がこの汚れ多い現世に、天の調べを伝えてくれるのです。
造麻呂 それほどでもござりませぬ。
御行 (深い溜息と共に)なよたけ………
琴の音。間――
御行 (突然、つかつかと土間に入って来る。衝動的に)お爺さん! 私はもうこれ以上我慢が出来ません! 私は私の思った通りのことをします! なよたけは私のものです! なよたけは私が貰います! なよたけを私に下さい! なよたけは私の妻です! なよたけは……
造麻呂 (きっぱりと)いけましねえ。
御行 いけない?………(調子を変えて、今度は妙に哀れっぽく)ねえ、お爺さん。………これはまあ、むかしむかしの笑い話だと思って聞いて下さい。