轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
なよたけ
なよたけ
加藤 道夫
「三田文学 四・五月号、六月号、七・八月号、九月号、十・十一月号」1946(昭和21)年5月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,415 字 · 163 页
すると、どうだい? あいつは恐しい勢いで、「貴様にはまだ分らんのか!」って怒鳴りつけるんだ。そうかと思うと、やれおけらがどうの毛虫がどうのと、全くとんちんかんな返答をする。しかも論旨は支離滅裂なのさ。もうまるで意味が分らないんだ。……
小野 しかし、それだけのことであいつを狂人扱いにしてしまうのは早計だ。そいつは少し残酷だよ。
清原 まだまだ思い当る節はたくさんあるさ。第一にあの眼だ。あの眼の異様な輝き工合はどうだ! 雲斎先生もそう云ってらしたが、狂人になるとまず第一に眼が異様に輝いて来るんだそうだ。精神を集中することが出来なくなるから、眼光は焦点を失って、いずこともつかぬ方向へ、不気味な輝きを発散するのだそうだ。小野、あいつに逢ったら、まず第一に眼をみてごらん! 僕はあいつの眼をみてると、気味が悪くなって来るんだ。じっと一点を凝視するってことがないんだ。行方も分かぬ、虚空の彼方にぎらぎらと放散しているんだ。定かならぬ浮雲のごとく天の原に浮游しているんだ。天雲の行きのまにまに、ただ飄々とただよっている……
小野 (深刻に)……うーむ。
清原 その次に確実な症状は幻覚と云う奴なんだよ。