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ねじくりはかせ
ねじくり博士
幸田 露伴
「読売新聞」読売新聞社、1890(明治23)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,723 字 · 14 页
これは中々争うことの出来ない真理さ。しかも物理学上の明晰なる理だよ。イイカネ、例に挙げたものを能く能く考えて貰いたいのサ。ひとつもこの原則に撞着矛盾するものはない。ソコデ何故に物はかく螺線的運動をするのだというのが是非起る大疑問サ。僕がこの疑問に向ッて与うる説明は易々たるものだよ。曰くサ、「最も障碍の少き運動の道は必らず螺旋的なり」というので沢山サ。一体運動の法則を論じて見れば一点より他点までに移る最近径は前にもいッた通り直線に極ッてるのサ。ダガ物は直線に進まないよ。直線に進まないのではないが、螺旋をして行く場合には直線にも進むが即ち前にもいッた所の直線的有則螺旋サ。分ッたかネ。たとえば矢が弦を離れてからぐるぐると風を切てまわりながら直線に進む所が近い例サ。あれは即ち直線的に螺旋線を空中に描いてるのだよ。あの矢の鏃をいろいろに工夫するのだがネ、どうしても雁股はよくいかない。何故というのに雁股は僕の所謂最も障碍の少きは螺旋的運動なりという原則に反対しているからだ。矢が能く飛ぶには色々の原因もあるがまず第一に螺旋規則に従うからだよ。さて以上二ヶ条の原則を出したが、まだ中々こんな事ではつまらない。