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のろのろほうだんのきょうい

のろのろ砲弾の驚異

海野 十三

――金博士シリーズ・1――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,247 字 · 19 页

青空文庫

「……」

ロッセ氏は、天に向って、しきりに博士の名を呪いながら、停っては歩き、そして又停っては歩きした。よほど口惜しそうだった。

私は、博士のことを、そんな人物だとは思わないが、ロッセ氏から、のろのろ砲弾についての討論を聞いているうちに、だんだんと氏のいうところも尤だと思うようになった。

「なるほど、反対条件だねえ」

「博士よ、豚に喰われて死んでしまえ」

「まあ、そういうな。背後をふりかえってから、ものをいって貰おうかい」

ふしぎな声が、とつぜん、私たちのうしろから聞えたので、私ははっと思った。

「誰だ?」

「あっ!」

生れてからこの方、私はこんなに愕いたことは初めてだった。悲鳴をあげると共に、私は愕きのあまり、鋪道のうえに、腰をぬかしてしまった。なぜといって、私が振り返ったとき、そこには声をかけた筈の誰もいなかった。しかし何物も居ないわけではなかった。私は、まっ黒の、大きな筒のようなものが、私の背中にもうすこしで突き当りそうになっているのを発見して、愕いたのである。それは、どう見ても、口径四十センチはあると思う大きな砲弾であったのである。

「どうだ。この砲弾が見えるかね」