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ひすいをあいされたきさき

ひすいを愛された妃

小川 未明

「婦人倶楽部」1928(昭和3)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,483 字 · 12 页

青空文庫

そのものは、腰の曲がった、あごに白いひげの生えた老人でした。このおじいさんは、若い時分支那からチベットの方へ、山から山と、ひすいをたずねて歩いた経験があって、一目石を見れば、それが真物か、贋物かということの見分けがついたのです。

おじいさんは、さっそく、御殿に召されました。そこで、妃の首飾りについている珠を鑑定させられました。おじいさんは、ひざを折って、うやうやしく青い珠を掌の上に載せてながめていましたが、その中から、一つ、一つ分けはじめました。青いたくさんの大きな、また小さい珠は、左右に二分されました。

「右の方に置きましたのは、真物で、左の方に置きましたのは贋物であります。」と、おじいさんは、申しあげました。

「まあ、これが……。」といって、妃は、美しい顔に、驚きの色を浮かべられた。なぜなら、かつて、みごとな珠だと見とれられました、大きな珠も贋物の中にはいっていたからであります。

「おそれおおいことでありますが、真物のひすいは、そうたくさんあるものでありません。」と、おじいさんは、つけくわえました。

その後、いっそう、ひすいの価は高くなったのです。