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ひとりすもう

ひとりすまう

織田 作之助

「海風 第三号」1938(昭和13)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,706 字 · 40 页

青空文庫

しかし、轡川を嫌っているという明日子が何故この話の主人公を苦しめた様な夜のことを行ったのであろうか。恐らく、彼女の未亡人としての生理がそうさせたのであろう。そして、その様なことは往々精神上の恋愛なくしても喜びをもってすら行われることもあり得るのではなかろうか。

以上のことが、この話の主人公に分らなかったのは、恐らく彼が事件の渦中にあり、しかも明日子を愛していたというその時の彼のフェミニズムの為ではなかったろうか。

――そう筆者が彼に言うと、彼はすかさず、次の様に答えた。

「勿論間違いだとは言わぬ、しかし、その時のぼくにその様なことを見抜く力があったとすれば、恐らく、君のその様な解決の素材になったこのぼくの話は、最初からもっと違ったものであったろう」