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びっこのおうま

びっこのお馬

小川 未明

「童話」1922(大正11)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,615 字 · 8 页

青空文庫

」と、姉さんはいいました。

二郎は、我慢をして、もうすこしの間、見ないことにしました。その日の午後から、雨が晴れて、青い空があらわれたのであります。風はさやさやと新緑の葉の上を渡っていました。それは、心地のいい景色であります。

「姉さん、僕のお馬を見せておくれよ。」と、二郎は、また姉に頼みました。

姉は、二階に上がってきました。あとから二郎がついてきました。しかし、姉が窓からのぞいてみると、紙のお馬はいつのまにか乾いて、風に吹かれて飛んで、あちらの屋根のといにかかっていました。

「姉さん、どうなった?」ときいている弟に対して、姉は、ありのままに知らせる気にはなれませんでした。

「二郎ちゃん、お馬は足がなおったものだから、元気よくどこかへ駆け出していってしまいましたよ。」と答えました。

二郎は、いつか、みんなから遅れて、汗を流して歩いていったびっこの馬を思い出しました。また、同時に、足早に歩いていった健康な馬の姿を思い出しました。

びっこの馬が、足がなおって、元気よくどこかへいったということは、どんなに二郎に、うれしいことであったでしょう。

雨のために足が伸びて、馬が、どこかへいってしまったことを、二郎は、ほんとうだと思いました。