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ふるさとのはやしのうた
ふるさとの林の歌
小川 未明
「赤い鳥」1921(大正10)年12月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,289 字 · 9 页
彼女は、たまたま立ち止まって耳を傾けました。いつものいい小鳥の鳴き声が耳に聞こえてこないかと思ったからです。けれど、あたりは、まったくしんとしていました。木々のこずえに当たる風の音が聞こえるばかりでありました。
「どうしたのだろう。」と、娘はいぶかりました。
今日、この林の中でまたあう約束をしたのに、小鳥は、もはや忘れてしまったのだろうか。いや、あの鳥にそんなことのあろうはずがない。娘は胸の騒ぎを感じました。もしやと思って、彼女は、昨日小鳥と話をした木の下に走ってゆきました。するとそこには、かわいらしい昨日の小鳥が冷たくなって地の上に落ちているのを見ました。
彼女は、その小鳥の屍を拾い上げて、しっかりと胸に抱きました。
「おまえのいったことはうそではなかった。みんなほんとうのことであったのだ。そして、おまえは、私のために死んでくれた。しかし、今日からはおまえは私の胸の中に生きるであろう。それでも私は、ほんとうにさびしくなった。もう、おまえと話をすることができなくなってしまった。」といって、娘は、熱い涙と、息を、冷たくなった小鳥の屍に吹きかけました。
小鳥のいったことは、みんなほんとうだったのであります。