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ふるさと

ふるさと

小川 未明

「ふるさと 47巻2号」小学校、1929(昭和4)年5月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,029 字 · 7 页

青空文庫

」と、ふたりは、哀れな鳥にささやいたのであります。

かごの鳥は、うらめしそうに、こちらを見ていたが、

「逃げ出しても、私には、もはや、あの山を越すだけの力がありません。それより、あなたたちは、はやく、ふるさとへお帰りなさい。夏になると、この国は、とても暑いのです。」と、いいました。

二羽の小鳥は、なるほどと考えました。そして、急に、ふるさとがなつかしまれたのであります。それから、まもなく、ふるさとを指して帰りました。ふたりは、きたときのように、途中幾たびも木にとまって休みました。

「あの国にすんだにしても、みんな生擒にされたり、殺されたりするものばかりでもないだろう。」と、ひとりがいいますと、

「美しい花の咲くところや、にぎやかなところにばかり、私たちの幸福があると思ったのが、まちがっていたのだ。やはり、平和で、自由に暮らせるところが、いちばんいいのだ。」と、ひとりが答えました。

ふるさとに帰ると、すっかり春になっていて、清らかな、香りの高い、花が、南の国ほど、種類はたくさんなかったけれど、山や、林に、咲いて、谷川の水が、朗らかにささやいていました。年とった鳥たちは、ふたりの帰ったのを喜びました。