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もくねじ

もくねじ

海野 十三

「譚海」1943(昭和18)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,546 字 · 16 页

青空文庫

旋盤の中心が何かの拍子に狂ったのだ。だからこっちとこっちとが、よけいに深く削られている。これじゃねじ山は合っていても細いから、挿し込んでもやがてぬけてしまうよ。おお、それに頭がこんなに缺けているじゃないか。ドライバーをあてがって、力をいれてねじ込もうとすれば、ドライバーがねじの頭から滑ってしまう。ひどいものを交ぜて寄越したなあ。とにかくこれはだめだ」

そういって、彼はぼくを元のとおり、機械台の上に、頭を下にして立てた。

ぼくの不幸なる身の上は、この刹那にはっきりしたのである。

螺旋がよけいに深く切り込んである。それに頭の一部が缺けている。ああぼくは何という不幸な身体に生まれついたことであろうか。

目の前が急に暗くなった。ぼくは台の上で身体をふるわせ、歎き悲しんだ。折角りっぱな国際放送機の部分品となって、大東亜戦争完遂に蔭ながら一役を勤めることが出来ると思ったのに。

若しぼくに、羽根があったら、この台の上からひらりと飛び出して、あの穴へとびこむのだが……。

幸運

すっかり希望を失ったぼくは、機械台の上にいつまでも震えながら、歎き悲しんでいた。

そのうちに、ぼくはとつぜんむずと摘みあげられた。