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ろまんどうろう

ろまん灯籠

太宰 治

「婦人画報」1940(昭和15)年12月~1941(昭和16)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,222 字 · 74 页

青空文庫

ここに、パンが二つと、ハムが一つあるからね、途中でおなかがすいたら、食べるがいいや。何を愚図愚図しているんだね。」

王子は、あまりの嬉しさに思わず飛び上りました。ラプンツェルは母さんのように落ちついて、

「ああ、この毛の長靴をおはき。お前にあげるよ。途中、寒いだろうからね。お前には寒い思いをさせやしないよ。これ、お婆さんの大きな指なし手袋さ。さあ、はめてごらん。ほら、手だけ見ると、まるであたしの汚いお婆さんそっくりだ。」

王子は、感謝の涙を流しました。ラプンツェルは次に鹿を引きずり出し、その鎖をほどいてやって、

「ベエや、あたしは出来ればお前を、もっとナイフでくすぐってやりたいんだよ。とても面白いんだもの。でも、もう、どうだっていいや。お前を、逃がしてやるからね、この子をお城まで連れていっておくれ。この子は、お城へ帰りたいんだってさ。どうだって、いいや。うちのお婆さんより早く走れるのは、お前の他に無いんだからね。しっかり頼むよ。」

王子は鹿の背に乗り、

「ありがとう、ラプンツェル。君を忘れやしないよ。」

「そんな事、どうだっていいや。ベエや、さあ、走れ! 背中のお客さまを振り落したら承知しないよ。