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われらのいえ

われらの家

宮本 百合子

「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,887 字 · 6 页

青空文庫

丁度学校が仕舞う頃に成ると、夕飯まで、もう一盛り騒ごうとする子供等が、十五人近くも、その石段の頂上、――彼女の庭のつい横手――に集る。そして、あらいざらいの活気を以て、賑い出すのである。

男の子や、女の子や……縁側の柱に膝を抱えて倚かかり、芽を青々と愛らしく萌え出した紫陽花の陰に、無数に並んで居る、真黒な足と下駄とを眺め乍ら、泰子は、殆ど驚歎して、彼等のお喋りや、誇示や、餓鬼大将の不快至極な、まるで大人の無頼漢が強請るような威圧を聞いたりした。

六畳の縁に向いた部屋に暫く机を置いて居た泰子は、春の日差しが暖く強く成るにつれて、眩しさを感じて仕方が無く成った。

檜の植込みや、若々しい新葉の出た樫の木位では、午後二時頃から射す、きららかな日を防げなかった。

机に向って居ると、いつの間にか、眼が痛むほど、紙が白い反射を起すように成る。如何にか成るまいかと思って、小さい彼女が大きな机を抱えて位置をなおすと、坐りもしないうちに、外では子供達の運動会が始る――。

我慢しても泰子は、つい不愉快にならずには居られなかった。

「今日は如何うだった?

茂樹が五時頃帰って来て尋ねると、泰子は黙って苦笑した。