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われをかえりみる
われを省みる
宮本 百合子
「女性日本人」1923(大正12)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,652 字 · 12 页
前後を截断して非常に短い時間の内容を、種々な迷執を持つ「我」を主として価値を定め、批判しようとするから、勢い、狭量な、自己肯定に堕し易い。
人類の生活は時というものに関する認識が、今日程明白に意識されない時代から初まっていました。時に、時という命名を行ったのは人類です。
太古の祖先等は、出生と死――発生と更新の律動を大きな宇宙の波動と感じて生活していたに違いありません。今の私共のように外面的にこせこせと、一年二年など、数えあげていたのではないでしょう。生れ出た人間は、太陽を浴び、雨に濡れ、朝に働き夜に眠りして、徐々に育って来た。脆弱であった四肢には次第に充実した筋力が満ち男性は山野を馳け廻って狩もすれば、通路の安全を妨げる大岩も楽々揺がせるようになる。
女性は、いつかふくよかな胸と輝く瞳とを得、素朴な驚異の下に、新たな生命をこの地上に齎して来る。――毛皮を纏い石を打合わせて火を造った時代にも彼等は、自分達の生れない先から生きており、今は白髪となった者達を、大切に思うことは知っていたでしょう。わが骨肉の老朽を自ら感じる者等は活力に溢れ、日々の冒険で世界を拡張させて行く者共に、絶大な期待と信任を覚えたに違いない。