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われをかえりみる

われを省みる

宮本 百合子

「女性日本人」1923(大正12)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,652 字 · 12 页

青空文庫

彼等は一つ一つに新たな発見をすることが如何程、自分等皆の生活に重大な意義を持っているか、複雑な近代人の持ち得る以上の直覚で覚ったことでしょう。一人の人間が生きることは、何等かの意味で認識の拡張を意味し、屡の失敗に於てさえも尚、貴重な経験の一部を、全群の生存の為に寄与しているからこそ、長時間の生活、日々が愛され、尊まれたのです。

この時代から見れば、私共現在生きる社会は、原人の夢想だにし得なかった大統一と同時に大分裂に支配されています。自然を征服し得たことは、人生に多大の霊光を与えた。四肢に集注されていた生活力は頭脳に分与されました。賢こくなった人間、豊富になった筈の人間精神の明確なるべき今日の人の多くがそれなら、果してひたすら発育して自己の肉体、精神の内感のみによって、宇宙に満ちる時の推移を直感するほど、深刻であるでしょうか。それほど迄に、切実に人類の全生活、運命に即した敏感を持っていましょうか。

云うことを許されれば、時の概念は、余り皮相的にあまり抜け目なく、地球の面に割りあてられすぎました。さながら碁盤の目のように一つの石、人間が動けば必ずどこかの筋目に入らないと安心しない。