轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
アド・バルーン
アド・バルーン
織田 作之助
「新文学」1946(昭和21)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,390 字 · 53 页
続けねばなりますまい。しかし、なるべく早く漕ぐことにしましょう。といっても、こと大阪の話になると、やはりなつかしくて、つい細々と語りたくて……。
さて、私が西横堀の瀬戸物屋へ丁稚奉公したのは、十五の春のことでした。そこは俗にいう瀬戸物町で、高麗橋通りに架った筋違橋のたもとから四ツ橋まで、西横堀川に添うた十五町ほどの間は、ほとんど軒並みに瀬戸物屋で、私の奉公した家は、平野町通りから二三軒南へはいった西側の、佃煮屋の隣りでした。
私は木綿の厚司に白い紐の前掛をつけさせられ、朝はお粥に香の物、昼はばんざいといって野菜の煮たものか蒟蒻の水臭いすまし汁、夜はまた香のものにお茶漬だった。給金はなくて、小遣いは一年に五十銭、一月五銭足らずでした。古参の丁稚でもそれと大差がないらしく、朋輩はその小遣いを後生大事に握って、一六の夜ごとに出る平野町の夜店で、一串二厘のドテ焼という豚のアブラ身の味噌煮きや、一つ五厘の野菜天婦羅を食べたりして、体に油をつけていましたが、私は新参だから夜店へも行かしてもらえず、夜は大戸を閉めおろした中で、手習いでした。おまけに朝は一番早く起された。