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アメリカぶんしきしつ
アメリカ文士気質
宮本 百合子
「文章倶楽部」1920(大正9)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,520 字 · 3 页
作品として出来上がった結果のよしあしは別として、日本などとは丁度反対で、名人気質の人がどうも少ないようです。
この私の見方は丁度、三人の按摩さんが各自思い思いに象のからだの一部を摩って見て、
「象という獣は鼻のような形のものだ。」
「いやそうじゃない、尻尾のようなものだ。」
「いや、足のようなものだ。」
と言い合っているような類いで、その見る人によっては全く異ったものに感ずるでしょうけれども、とにかく、私はそういう風に感じ、観、また考えても参りました。
とにかく、米国人は一般からコムマーシャールの方を多く持ち、日本人は名人気質の方を持っているように私には思われました。そして、米国では日本なぞよりも執筆者が数からいっても割合からいっても遙に多いが、その執筆者も或る雑誌が買ってくれているから書いているので、その雑誌が買わなくなれば今度は他の雑誌へ問い合わせて買う約束が纏まればやはり書きもするが、どこでも買わないとなるとその人は執筆の方の為事はやめてしまいます。そういう人の方が多いようです。そこへ行くと、日本人にはその作品がなっていようがいまいが、他人が買おうが買うまいがそんなことはおかまいなしに、ただ書かずにいられないから書くという心持からその為事に没頭する気質が強いように考えられます。