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オカアサン

オカアサン

佐藤 春夫

「女性」1926(大正15)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,831 字 · 20 页

青空文庫

「それはそんなことはないさ。そう、そ。あなたに言おうと思って忘れていたのだけれど、あれの爪や嘴があんまり延びすぎている。あれは何か木片かなんかを噛らせるがいい――それを見てもわかるが、大切にも育てられたがあんまり手入れはとどかなかったね、あの鳥は。つまりあなたが言うように、女と子供との家庭に育ったからだ。それに鳥屋の店にはさらさなかった証拠だね。鳥屋で半月もいたことがあるとすれば、鳥屋は注意してあの嘴を蝋燭ででも焼いてやるよ、あんまり延びすぎているものね」

「君の爪も」とわたしは笑いながら言った「一つ蝋燭ででも焼いてはどうだ」

「これは延びていちゃいかんかね」仙人は仙人らしいとぼけた顔をして、煙草をつまんだ彼の手の指を見つめていました。

とわたしは自分の常談を打きって、わたしの日ごろの空想のつづきを、仙人に話しつづけたのです――

最後にのこっている疑いは、つまりあのような可愛いまたよく慣れ親しんだロオラを、何故、お母さんが鳥屋へ売ってしまったろうかという点なのです。仙人に聞くと、売ったのではなく外の鳥と取代えたのだそうです。それならば尚の事、別にすべての鳥に飽きたというのでもなく、また金に代える必要があったわけでもない事になります。