轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

オカアサン

オカアサン

佐藤 春夫

「女性」1926(大正15)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,831 字 · 20 页

青空文庫

おしげが二階に上りさえすれば、きっと物を叫ぶか、或は例の泣き声を真似ます。ロオラはわたしたち家族のなかではおしげを一ばん好いている様子です。そのくせ別におしげが餌をやるわけではなく、餌はわたし自身や長谷川がやるのです。それだのにロオラは一向、男には馴染まないのです。わたしの妻やおしげなどに対しては籠のそばへ頸をさし出して頭をさすらせることをし、それを喜ぶのに、男がそうしようとすると大てい逃げて仕舞います。てんで籠のそばへ頸をさし出すことさえしないのです。ロオラはこの通り少しも男に馴染んでいないのは、きっと以前の飼い主は女だったからでしょう。

「ロオラや」

あの気取った声の奥さんは、前の飼い主に相違ない。少し肥ったあごなどのくびれた人が努めてやさしげに言う声に似ている。ロオラは女のうちでおしげをわたしの妻よりも好いているが、わたしの妻は痩せていて、おしげは太っています。

それからロオラはまた近所の子供に談しかけられるのを何よりも喜んでいます。彼等がわたしの二階の窓の下へ来て何か一言叫ぶと、ロオラはいろんなことを喋り出すのです――そうです。ロオラに、あとからあとからさまざまなことを言わせたものは近所の子供たちでした。