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オシャベリひめ
オシャベリ姫
かぐつち みどり
「九州日報」1925(大正14)年9~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,785 字 · 49 页
その時にこちらの兵隊はみんな鉄の鎧を着て、短刀を持って、王が指さす方へ黙って進んで行きまして、黙って敵に斬りかかって行きましたので、今度はあべこべに敵が滅茶滅茶に負けて逃げて行ってしまいました」
「まあ……よかったこと」
ときいていた姫はやっと安心をしました。
若い人はなおもお話をつづけました。
「それから後、この国中の人々は一人も口を利かなくなりました。しまいには只ぽかんと口を開いていても、役人が遠くから見つけて、物を云っていたのと間ちがえて殺したりしますので、国中の人は怖がって、ものを喰べるのにも、口を開かないように牛乳やソップなぞいう汁を鼻から吸うようになりました。そうして何千年か暮しているうちに、この国の人は口が役に立たなくなったので、だんだん小さくなって、とうとう今のようにまったくなくなってしまいました。けれども全くなくなると妙な顔に見えるので、この国の人は鼻の下の、昔口のあったところに赤い唇の絵を書いておくのです」
「それじゃ、あなたはどうして口がおありになるのですか」
と姫は尋ねました。
若い人はこう尋ねられると顔を真赤にしましたが、やがて悲しそうにこう答えました。