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オフェリヤごろし

オフェリヤ殺し

小栗 虫太郎

「改造」改造社、1935(昭和10)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,366 字 · 58 页

青空文庫

そして、一人一人に渡す花にてんで違ったものを持ち出したのを見て、三人は秘かに顔を見合わせたのだった。

(オフェリヤの台詞)「さあ連理草(レイアティズに)、別れってこと、それから三色菫、これは物思いの花よ。あなたには茴香(王に)それから小田巻。あなたには芸香(王妃に)、私にも少しとって置こう。これね、安息日の祈草と云うのよ。それから、あの方には、雛菊を上げましょう。ああ、この迷迭香でもフルール・ドウ・ルシイ――いいえ百合の花でも、どっちでもいいのだけれどきっと凋んでしまうにきまってますわ、父の没くなりました時、それは立派な最期でしたけど」

と、弥生の春の花薔薇、いとしのオフェリヤは、そうして残りの花を、舞台の縁にふり撒くのだった。

がその時、幡江は暫く前方の空間を瞶めていて、そこに何やら霧に包まれながら遠退いて行くようなものが、あるかに思われた。

続いて舞台が廻ると、そこはエルシノアの郊外。いよいよ女ホレイショが、オフェリヤを小川の中に導く、殺し場になった。

そこは、乳色をした小川の流れが、書割一体を蛇のようにのたくっていて、中央には、金雀枝の大樹があり、その側を、淡藍色のテープで作られている、小川の仕掛が流れていた。