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オフェリヤごろし
オフェリヤ殺し
小栗 虫太郎
「改造」改造社、1935(昭和10)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,366 字 · 58 页
翌日は、他の劇団から傭った女優で、欠けたオフェリヤを補い、沙翁記念劇場はいつも通り蓋を明けた。
が、前夜の惨劇が好奇心を唆ったものか、その夜は補助椅子までも、出し切った程の大入りだった。然し、オフェリヤ殺し場は、遂に差し止められて、あの無残な夢を新たにしようとした、観客を失望させた。
法水は演技の進行中も、絶えず俳優の動作に注意を配っていたが、恰度四幕目が終って休憩に入ると、何んと思ったか、暁子と孔雀を自分の室に招いた。
「僕はとうとう、一つの結論に達しましたよ。と云うのは、あの当時、風間は奈落には居りませんでした。実は舞台の前方――隠伏奏楽所の中に潜んでいたのです」
と冒頭吐かれた言葉には、女二人のみならず、検事も熊城も驚かされてしまった。熊城は透さず抗議した。
「冗談じゃない。常套を嫌う君の趣味は、いつもながらの事だが、然し、隠伏奏楽所の入口と云えば、下手の遙か外れじゃないか。そして、そこと奈落の壁には、ほんの腿が入る位の丸窓が二つ三つ明いているに過ぎないのだ。だから、道具方が開閉器室に入るのを、見定めてからだと、彼処へ行くまでに、時間の裕りがない。