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ジロリのおんな

ジロリの女

坂口 安吾

前半「文藝春秋 第二六巻第四号」1948(昭和23)年4月1日、後半「別冊文藝春秋 第六輯」1948(昭和23)年4月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 51,597 字 · 102 页

青空文庫

いわば女のジロリの相対的な敵意や反撥よりも、もっと思い上り、大人ぶり、見下している態度であった。

「ハハア。情熱というものは、探すものですか。失われた青春てえと、なんですかな、どこかへオッコトしていらせられたわけですか。青春てえものは、ふところのガマ口みたいのものなのかな」

「空白な世代ということですよ。戦争のおかげで、我々の青春は空白なのですね」

「なにが空白なものですか。恋の代りに、戦争をしていたゞけじゃないですか。昔の書生は恋も戦争もせず、下宿の万年床にひっくりかえってボンヤリ暮していたゞけさ。空白な世代などという人間の頭だけが空白なのでしょう」

「世代の距りですよ」

と、オーヨーに莞爾と、こう仰せられて、紫煙を吹いておられる。頭の悪い男なのである。それだけ、女には巧者なのかも分らない。軽蔑したわけではないが、なんとなく、此奴ウスバカ、と反撥して軽く片づける気持をいだいてしまったのが、またしても、失敗のもと、バカでも、ウスノロでも、人間そのものが元々タンゲイすべからざる怪物なのである。この心得を忘れがちな私はまことにアサハカであった。

私は美代子に、