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ジロリのおんな

ジロリの女

坂口 安吾

前半「文藝春秋 第二六巻第四号」1948(昭和23)年4月1日、後半「別冊文藝春秋 第六輯」1948(昭和23)年4月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 51,597 字 · 102 页

青空文庫

衣子はカンカンに立腹して、美代子に種則との絶交を申し渡し、再び会うことも文通することもいけないと宣告した。

けれども、ものゝ十日とたたないうちに、再び二人は失踪した。今回は、美代子は前回の経験によって、ダイヤの指輪とか、金時計とか、相当の金額のものを持ちだして行ったのである。心当りを探したが、行方が知れない。

これも機会だと思ったから、どうですか、ジッと閉じこもってクヨクヨしても仕方がないから、捜査がてら保養をかねて、温泉辺りでもいかゞですか。ヤス子さんも心配していますから、三人でブラ/\いかがです、と言ってみたが、ソッポを向いて返事もしない。

こうなると、私も意地で、私はどうも、行きがゝりにとらわれ、押しつけがましくなって、キレイにさばくということができず、変にしつこく汚らしいモツレ方を見せてしまう結末となる。

そこで、私は社員に三泊の慰安温泉旅行を与えることゝして、つまりヤス子と内々捜査もしてみようという、いかにも実のありそうな見せかけ、行きがゝりであるが、マズイ芝居だ。第一、失費も大変である。

こういうマズイ芝居は忽ち報いのあるもので、こう話のきまったところへ現れたのが大浦博士である。