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ジロリのおんな

ジロリの女

坂口 安吾

前半「文藝春秋 第二六巻第四号」1948(昭和23)年4月1日、後半「別冊文藝春秋 第六輯」1948(昭和23)年4月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 51,597 字 · 102 页

青空文庫

美代子のような娘をパンパンなどゝ辱しめられるのも、あなたのせい、あなたの柄の悪さのために、当家の娘がパンパンなどゝ」

衣子は血の気を失って、目は宙に吊り、うわずって、言葉をのんだが、私の怒りは、血が逆流し、コメカミの青筋が激痛をともなってフクレあがり、目がくらんだ。

「何が当家ですか。当家の娘が、笑わせるよ。まさしく、パンパンじゃないか。大浦種則みたいなウスノロにだまされて、家出をして、金品をまきあげられて、別の男と関係ができて、まさしくパンパンさ。病気になって、追んだされなきゃア、半年あとには、立派にパンパンになって、どこかの辻にたゝずんでいたに極ってらア」

「お帰り下さい。出て行きなさい。そして、もう、二度と当家のシキイをまたいではいけません。ヤミ屋、サギ師、イカサマ師のブンザイで、上流家庭へ立入るなどゝ、身の程も知らず、さがりなさい。出て行きなさい」

最後であった。

その裏に、一つのワケがある筈だ。久保博士の出現である。女のハラワタの汚さよ。男はたとえ人を殺し、人をだまし、盗みをしても、このように汚らしく人を裏切り傷けるものではない。女の最後の底なるものゝ醜悪さ。