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スポールティフなしょうふ

スポールティフな娼婦

吉行 エイスケ

「文学時代」昭和5年2月号(*原題には「横浜」という副題がある)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,705 字 · 8 页

青空文庫

」

「マリ、するとあんたが妾のダンナさんね。」

「うん、そうだ。」

すると、ナタリーが眼脂をふいてこたえた。

「わたし、いやです。」

赤い焔のように、一条の直線がナタリーの頬にふれた。同時にナタリーの悲鳴が爆発して彼女の頬に紅色の液体がながれていた。私は、酒盃を投げつけて茫然と立っているマリを街路に連れだして車にのせると車体は海岸線を疾風のように走りだした。

「マリ、どうかしたかね。」

「うん、おれはナタリーが好きだ。」

と、彼女は云うと猛然と私におどりかかって、銀色の唾液のなかで二枚の褪紅色の破片が格闘をはじめた。暫らく波の音が水上の音楽を私達にもたらした。

天界ホテルのサルーンへ這入ると、有名な五十に近い小柄な舞踏の師匠を取巻いて、コムミニストだというマルクス派の作家らしい男達がひどく酔って女達に愛想をつかされていた。深刻な表情をして酒盃を傾けている黄をマリは見つけると、つか/\と彼のかたわら迄彼女は行くと、少しばかりスカートを捲いてマリは薬品の為にオリーブ色になった唾液を床に吐いた。

「おい、黄。おれはなあ、今夜っきりおまえがやあになったんだ。こん夜っきりおれにかかわらずにおくれ。