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スモーリヌイにひるがえるあかはた

スモーリヌイに翻る赤旗

宮本 百合子

「大阪毎日新聞」1931(昭和6)年1月5日~21日号(15日号、19日号を除く)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,354 字 · 51 页

青空文庫

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二幕目がすむと、隣にすわっていた白い髯の教育部長が、

――どうです?

ニコニコ笑って日本女をかえりみた。

――退屈じゃないでしょう? 案外。

日本女は、古典的なマリンスキー劇場で、「眠り姫」を見るよりは遙か面白いと正直にいった。それは、世辞ではない。インドの小娘スンダーリが親たちの迷信の犠牲になって、どっかの寺へ献上されてしまう。ウペシュがそれを知って悲しみ嘆く。「若い観衆の劇場」教育部がそこでいおうとしている迷信の力と科学の力との対照は、うまい演劇的表現で、大人をもひきつける面白さである。

――これは、割合成功したと我々も思っています。だが、往々大人は子供の心持をかんちがえするのでね。いつも研究が必要です。

幕あいが十五分ある。日本女は、お爺さん教育部長のうしろについて、廊下へ出た。子供。子供。子供の国だ。

――今日は! セミョン・ニコラエヴィッチ!

赤い襟飾をつけたピオニェール少年が挨拶する。

――セミョン・ニコラエヴィッチ! こないだの絵もって来ました。

そういうのは、そばかすのある女の子だ。

――そうか。じゃこっちへ来なさい。

――僕も一緒に行っていいですか? セミョン・ニコラエヴィッチ。