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ソヴェトろうどうしゃのなつやすみ

ソヴェト労働者の夏休み

宮本 百合子

「戦旗」1931(昭和6)年9月号

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,079 字 · 5 页

青空文庫

ところで、ソヴェトの労働者は、年一ヵ月の有給休暇を貰う。

有名な海岸、温泉場、山の避暑地に昔ブルジョアが建てた立派な別荘、宮殿がある。それが今は勤労者のための「休みの家」になっている。結核療養所になってるところもある。

各工場は、職業組合を通して、めいめい自分たちの「休みの家」を何処かしらに持っている。

職場の連中は、順にその組合の「休みの家」へ出かける。大抵無料だ。けれども、「休みの家」が満員で、順がおそい連中は行けないという場合には「休みのために」或る額の金をくれる。それで、勝手にどっかへ出かけてノーノー一ヵ月休んで来るという仕組みだ。

夏になると、ロシアじゅうのステーションと列車とは、この休暇連中で埋まっちまう。

「君はどこまで行くのかね?」

「俺はコーカサスの『休みの家』だ。――お前は?」

「我々は見学だヨ。スターリングラードの耕作トラクトル工場見学に行って、ずうっとドンの炭山まで視察だ」

見学団も各工場から出る。新しいソヴェトがどんないい工場を持ってるか、集団農場、国営農場はどんなにやっているか、都会の工場からの代表が一大隊繰り出すのにもよく出逢う。