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トムきちとほうせき
トム吉と宝石
小川 未明
「日の出 1巻2号」1932(昭和7)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,254 字 · 9 页
彼は、途中で、自分と同じ年ごろの男と道づれになりました。砂漠を越しての、長い、長い、旅でありますから、二人は、いつしか打ちとけて親しくなり、たがいの身の上などを話し合うようになりました。この若者も、これから、なにかしら仕事をして、成功しようという希望を抱いていました。
青い草もない、単調な砂漠の中を歩いてゆくときでも、二人の話はよく合って、べつに退屈を感ずるということがなかったのです。また、烈しい太陽の光に照らされて、なんでも黄色く見えるような日でも、二人が語り合っているときは、心の中に涼しい風が吹いたのであります。
ある日のことでした。二人が、並んで道を歩いていると、ふいに、若者は立ち止まって、つまさきで砂をかき、砂の中から、なにか小さい石ころのようなものを拾いあげました。
「こんなものを見つけたが、なんだろう?」
と、若者は、それを手の上にころがして、ながめていました。青みがかった、虫の形をした石です。その石に光るものが彫り込んであって、端のところに、糸の通りそうな小さな穴があいていました。
「きっと、ここを通った人が落としたものだろうが、なににしたものかな。