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ドミノのおつげ

ドミノのお告げ

久坂 葉子

「VIKING 17号」1950(昭和25)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,713 字 · 42 页

青空文庫

いくらかかたむきかけた私達の幼少の頃といっても、今思い出しておかしくさえもある生活でした。すぐ近くへ行くにも自動車に乗り、ショフワーの横の席を子供達は取りあいでした。幾人ものお客様をもてなしたりしたことを思い出します。お二階のお座敷には、大きなぶあついおざぶとんが並べられます。女中達が、白いエプロンをぬいで黒ぬりのお膳を運びます。お茶碗などはそんな特別にしまいこんである桐の箱より出します。床の間には、三幅のかけ軸がかけられ、大きな七宝焼の壺にその季節々々の一番見事な花が活けられます。私もお振袖をきてお客様に御挨拶を致します。けれど、じっと坐ることが出来ないのですぐに奥へひきさがって兄や信二郎とおしょうばんの御馳走をたべます。その頃はそれがとりたててたのしいことではなく当然のように思われていたのでした。――

その夜、遠い親類にあたる松川の祖母さんの葬儀よりかえった母が、食事の後でこんな話をしました。

「松川さんのところのおばあさまで、まあ、御葬式の費用に仏様の金歯をはずしなさったそうな。いくらなんでもねえ、ひどい世の中になりましたよ」

「どうしていけないんだい?」