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ドミノのおつげ

ドミノのお告げ

久坂 葉子

「VIKING 17号」1950(昭和25)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,713 字 · 42 页

青空文庫

信二郎が傍から口を出します。私は父の顔をちらと見ました。

「どうしてって、あきれた子だよ、死んだお人の身についているものなんですよ」

と母は申します。

「いいじゃないか、おん坊に盗まれるよりかしこいさ。姉様どう思う?」

「私もいいと思う。とがめることはないわ。信二郎さんみたいに、唯物論者じゃないから死者の霊をまつりたい気持はあるわ。でも、金歯を抜くことが死者の霊に対して無礼だとは思わないわよ。それでお葬式してあげられたらいいじゃないの」

父はにがい顔をして黙っております。叔母がとんきょうな声を出しました。

「だって誰が抜くのよ」

「誰か、歯医者さんでも抜くのでしょう」と私。父がその時はじめて口をひらきました。

「いやな話、もうよしたまえ。お前達は父さんが死んだら、たくさん金歯があるから、それでうんと食べるんだね」

私は笑いながら云いました。

「雪子が死んだってあてはずれよ。金歯なんて一本もないわよ。人間の価値少しさがったわね。でも生きているうちはない方がよさそうね」

話はそこでぷっつり絶えてしまいました。

食後私は信二郎の部屋へ行きました。勉強しているのかと思ったら、ごろんと横になって煙草をふかしております。