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ドミノのおつげ

ドミノのお告げ

久坂 葉子

「VIKING 17号」1950(昭和25)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,713 字 · 42 页

青空文庫

「勉強なさいよ。何してるの、時間が無駄よ」

「考えてるんだ、無駄じゃない」

「何を御思索ですか、紫の煙の中に何かみえるのでしょう」

私は茶化すように申しました。

「ほっといてくれよ、うるさいね」

信二郎はおこったような顔をし、私の方へ背中を向けました。私はその傍へすわってしばらくの間、じゅうたんの破れ目から糸をひっぱったりしておりましたが、

「あなたきょう、学校へ行かなかったのね。大学だからいいのかも知れないけれど」

とやさしく問いました。信二郎はだまっております。

「街であなたをみかけたの。一人じゃなかったわ。お友達とでもなかったわ」

何か云おうとするのをさえぎって私は更に、

「何にもききたくないし、云いたくもない、でもそのことから……やっぱりバンドはよしましょう。姉様、何とかして本代ぐらい、こしらえてあげます。姉様はあなたにしかる資格はないかもしれないけれどあなたの将来を案じてるの。偉そうなことを云って。って、あなたはおこるでしょうけど……」

と云いました。

「何も姉様に対しておこらない。だけど、僕は僕勝手に生きるんだ。バンドのことはよすもよさないも駄目になっちゃったんだ」