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ドミノのおつげ
ドミノのお告げ
久坂 葉子
「VIKING 17号」1950(昭和25)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,713 字 · 42 页
静脈に針をちかづけると、にげてしまうのです。それでもやっと二本いたしました。喘息を根治する薬はないらしく頸動脈の手術も駄目だろうと野中先生は云われました。母が御神米をいただいて帰り、それを炊いて父にのませました。九時頃になって、すっかり発作は鎮まりました。もう今晩は大丈夫だろうと云って母は兄のところへ泊まりに行きました。兄もこの間うちから少し具合が悪く附添さんにまかせているのは心配だったのです。
その晩、私は夜中に何かしら目がさめました。こんな事はまれなことで何か胸さわぎがするので起き上って暫くじっとしておりました。隣の室で父はよい按配に眠っている様子。信二郎の部屋をうかがうと、電気がついていて寝がえりをうっているようです。日本間を洋風に使って、信二郎だけは寝台に寝ているのでしたが、その寝がえりの度に、スプリングの音がきこえてきます。何か頭がさえて眠れないのですが、そのまま又ふとんの中に首をすくめてしまいました。
翌朝。
いつも早く目ざめる父が今日に限って、うんともすんとも云わないので、不審に思い、しずかに襖をあけました。と、私は其処に父の死体をみたのです。