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ピムキン、でかした!
ピムキン、でかした!
宮本 百合子
「週刊朝日」1931(昭和6)年4月1日春季特別号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,906 字 · 36 页
――邪魔すんな。
――ほほう! 魂の暗え土百姓というとおりだ、お前は――
――お前こそなんだ?
青年共産主義同盟員ニキータが、机のむこう側に立ち上った。
――同志グレゴリー。時間を無駄にしてくれるな!
日が沈むと、早い春の気温はぐっと下り、雪解水の音がやんで、暗くなると一緒に泥濘が凍った。やっと登記の列が終った。書記がランプの下で紫インクのペンを置き、一服すいつけたところへ、ピムキンが、家へかえって来たような足どりで机の前へやって来た。
集団農場ソヴェト議長イグナート・イグナートウィッチが書類をしまいかけている。
――何用だね? 俺の爺さん。
――さあ、こんだ俺の名だ。元のパルチザン、集団農場さ入れねえことは、なかっぺ。
黒い皮の半外套に同じ帽子をかぶった集団農場中央からの男が、小声で、
――何者だね?
とイグナート・イグナートウィッチに訊いた。イグナート・イグナートウィッチは長い髯をしごきながら、
――知ってなさる通り……まだ村にゃあいろんな者がいる……国内戦は人間の体のいろんな場所に影響した。
――そりゃ本当だ。
ピムキンは、窮屈そうに肱をあげてルバーシカの裏ポケットから例の紙切れを引き出しながらわきから口を入れた。