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ペスをさがしに
ペスをさがしに
小川 未明
「児童読物研究」1933(昭和8)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,152 字 · 9 页
寒い晩で、木枯らしの音がきこえていました。床にはいってからも、正ちゃんは、風の音に耳をすまして、逃げてきた、かわいそうなペスのことを思って、なかなか眠りつかれなかったのでした。
翌日は、日曜日でした。朝飯を食べると、正ちゃんは、外へ駆け出してゆきました。往来で、徳ちゃんたちが、遊んでいました。徳ちゃんは、政ちゃんと同じ年ごろでした。
「徳ちゃん、ペスが帰ってきたって、ほんとうかい。」
正ちゃんは、徳ちゃんの顔を見ると、すぐこうたずねました。
「ああ、昨日見たよ。」と、徳ちゃんは答えたのです。
「ほかの犬だろう。」
「そうじゃない、ペスだよ。日の丸が、ついていた。」と、徳ちゃんは、いいました。
「日の丸が、ついていた?」と、正ちゃんは、念を押しました。日の丸というのは、ペスの白い脊中に赤い毛のまるい斑があったので、みんながそういっていたのでした。
「日の丸があったよ。」と、徳ちゃんははっきり答えました。
そうきけば、もうペスの帰ってきたのに、疑う余地がなかったのです。正ちゃんは、走って、家へもどると、その話を達ちゃんにしたのです。
ちょうど、そのとき、小田と高橋が、釣りざおとバケツを下げて達ちゃん兄弟を誘いにきました。