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ポウのほんしつ
ポウの本質
平林 初之輔
「世界探偵小説全集第二巻 エドガア・ポウ集」博文館、1929(昭和4)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,304 字 · 3 页
「人間の中には、近代の哲学がそれを無視しようとしている神秘的な力がある。そしてこの何とも命名しがたい力なしには、この根元的な力なしには、人間の多くの行為は説明されないし、また説明することができないだろう。これらの行為は、それが悪であり、危険であるためにのみ魅力をもつのだ。一歩誤れば身を滅ぼす危険な深淵の魅力をもっているのだ。この本源的な、抵抗することのできない力は、人間の生まれつきもっている非道であって、それが、人間に、人殺しをさせたり、自殺をさせたり、刺客にさせたり、死刑執行人にさせたりするのである」
ポーが、その詩やいわゆる怪奇小説やで描き出そうとしたのは、この神秘的な力なのである。
彼の物語は、人生の例外的な出来事を描いたものであるという一般的な解釈は、それゆえに誤っている。彼の興味をひいた世界は、例外的な世界などではない。例外にも何にも実在しない世界であると同時に、誰の頭の中にもひそんでいる普遍的な力の支配する世界である。だから、彼の描く世界が普遍的に読者に迫る力をもっているのだ。そして私は言うが、科学者がコレラ菌を研究するのが、ちっとも悪いことでないと同じように、ポーがどんなに「不健全」