轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

マダムさだやっこ

マダム貞奴

長谷川 時雨

「婦人画報」1920(大正9)年2~4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,999 字 · 53 页

青空文庫

お貞さん香華もあげやせん。あの人は強い人で、しまいには川上さんとも仲がようのうて、あっちの室とこっちの室とに別れて、財産も別だったような――」

この老妓の談話は賤しかった。香華を手向けないゆえ不貞だというようにもきこえたが、あれほど立派に川上の意志をついでいれば、それをこそ川上は悦んでよいのである。仲がよくなくなったといわれた亡夫の意志を、何処までも続いで名声を持してゆこうとするのには、どれ位人知れぬ苦労があったか知れはしない。あの勝気な松井須磨子が、人気のある盛りの身で、一人になれば、猶更自由でありそうなものに思われてさえ、先生抱月氏に別れては、楯なしでは突進も出来なかったではないか。それをもう衰運であり、他に彼女を引立てて、一座の明星と輝かせ得るほどの対手かたをもっていなかった彼女が、貞奴の名を忘れないものにさせるのにどんな気苦労をしたか――老妓は金銭問題のことを言ったが、多年、川上のためには、彼女は全身を投出して来た人である。僅少の貯蓄で夫妻が冷たくなろうとは思われる理由がない。老妓の推測は自分だけの心にしかわからなかったのであろう。老妓の目に夫妻の金銭問題と見えたのは、事業と一家の経済との区別をたてたのを悪くとったのではあるまいか? 彼女も女である。