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メメント モリ
メメント モリ
田辺 元
「信濃教育 第八五八号」1958(昭和33)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,397 字 · 19 页
ただそれが絶対無即愛の実現を本分とするために、かえって向上即降下して円環を描き渦動を重ねるのである。生の徹底が死に転じ、死の敢為が復活の生へ突破せしめられるにより渦動的となり、しかも不断に生死相即転換するに依って、渦動はどこまでも重積せられるのである。生と死との転換媒介が成立するためには、まず生の徹底果遂が必要である。「死の哲学」は「生の哲学」の行詰まりにそれより遅れて現れる。菩薩は作仏行を通らずして無為に衆生済度から始めることはできない。自利利他といわれるゆえんであろう。人師たるものはまず自ら師に学び作仏に勉めて自己の仏性を徹見し、しかるのち菩薩行に出ることができる。その行の媒介としては、あらゆる倫理的世務を始め、現実の科学的認識も技術的利用もそれぞれに必要である。これらを初めから断念し制限して遁世禁慾に生の矛盾を免れようと欲しても、それは人間の種族本能に属する限り全面的に阻止することはできぬ。単なる個人の知識と教説との支配し得る所ではないのである。ただ「生の哲学」の行詰まりに徹しその限界を悟って「死の哲学」に転ぜられたものが、さきに実存協同と名づけた復活者の交わり(クリスト教にいわゆる「聖徒の交わり」