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ヤミろんご
ヤミ論語
「世界日報 第五五二号~第六九二号」1948(昭和23)年2月23日~7月12日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,308 字 · 36 页
チークダンス
チークダンスの実況写真が某紙にスッパ抜かれて、ダンスのタイハイこゝに至る、ホール業者、ダンス教師、御愛好の男女代表、ダンサー、文部省、警視庁、御歴々が御参集あって協議あらせられたとある。
この写真に見参するまで、私はもっぱらカストリなどにかゝりきっていて、チークダンスという言葉も知らなかった。一見したところ、ダンスじゃなく、やゝ交合に近接した領域のもので、女学生、女事務員とおぼしき方々がしかと男にしがみついて恍惚のていでいらせられる。さる夏の日、ウチの池で蛙のむれが交合し、恍惚と浮沈しつゝあったのを思いだしたが、あれよりも、ギゴチない。そこが人間のユエンかも知れん。
この写真を見た同じ日、友人が北斎の猥画をもって見せにきた。一しょに歌麿を五冊見せてくれたが、歌麿があたりまえの猥画にすぎないのに比べると、北斎には絵の鬼の凄味がある。人体を描いたアゲクが、そこまで描かずにいられなかった鬼気をはらんだものである。猥画ではなく、人間を描いた絵画であり、絶望感に色どられていた。
北斎は交合を描いて猥感を拒否しているが、これは作者の魂の深さと、趣味教養によるものであろう。