轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ラジオざっかん
ラジオ雑感
寺田 寅彦
「日本放送協会『調査時報』」1933(昭和8)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,067 字 · 11 页
宅のラジオ受信機は去年の七月からかれこれ半年ほどの間絶対沈黙の状態に陥ったままで、茶の間の茶箪笥の上に乗っかったきりになっていた。夕飯時に近所の家から「子供の時間」の唱歌などが聞こえて来ても、宅の機械は固く沈黙を守って冷やかにわれわれの食卓を見下ろしているだけであった。それがやっとこの頃になって久し振りのその沈黙を破って再び元気よくわれわれに話しかけることになった。
事の顛末を記録するためには先ずわが家のラジオの歴史を略記する必要がある。
東京で一般的放送が開始されて後も、しばらくの間は全く他所事のように何の興味も感じなかったので、自宅へ受信機を備えるどころか、他所のでちょっと聞いてみようという気も起らなかった。もっとも、それよりもよほど前に、どこかの実験室でのデモンストラチオンを一度経験していたから、「初物」に対する好奇心だけは既に満足されていたのである。なにしろ明治四十四年まで電燈を引かないで石油ランプを点していたほど不精な自分なのである。
ある日偶然上野の精養軒の待合室で初めてJOAKの放送を聞いたが、その拡声器の発する音は実に恐るべき辟易すべきものであった。