轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
レモンのはなのさくおかへ
レモンの花の咲く丘へ
国枝 史郎
「レモンの花の咲く丘へ」東京堂書店、1910(明治43)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,016 字 · 142 页
女子 いいえ、白い衣を着た、白髪の老人でござります。桂の冠はかむっておりませぬ。
公子 その老人はどこにいるのです。
女子 (振り返り)あれ、あすこに立っておりまする、月の光をあびて立っておりまする。
公子 (すかし見て)ああ、私にもよく見えます。(驚き)あの男だ、あの男だ、――ああ悪魔!
女子 老人でござります。白髪の老人でござります。
公子 紫の袍を着て、銀の竪琴を持っている。若い美しい音楽家だ! (一寸躊躇し)ああそれだのに、桂の冠をかむっていない。
女子 いえいえ白い衣を着た老人でござります。
公子 あの男だ、母を殺したあの男だ。
女子 いえいえ老人でござります。(と振り返り)あれ、もう、静かに歩いて行きまする。
公子 勝ち誇った騎士のように、ゆっくりと歩いて行く。――紫の袍が煙のように、銀の竪琴が星のように……。(Fなる魔法使いは、無音にて花陰へ隠れ去る。奥にて大勢の人声。やがて真先に領主と従者、後につづいて騎士、音楽家、左右より現われて女子の方を見る)
(幕――)
第三場
翌日。一場と同じ領主の館の一室、窓より海と音楽堂と見ゆ。室内には窓に近くただ一台の寝台あり。