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レーリーきょう(ロード レーリー)

レーリー卿(Lord Rayleigh)

寺田 寅彦

「岩波講座 物理学及び科学」岩波書店、1930(昭和5)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,439 字 · 55 页

青空文庫

この著書の草稿は Mathem. Trip. の試験答案の裏面を利用して書いたのであった。ヘルムホルツは『ネーチュアー』誌上にこの書の紹介を書き、この書は正にタムソン―テートの『物理学』に比肩すべき名著であると云った。タムソン―テートの書物が遂に完結せずに了った一つの理由は、レーリーのこの書とマクスウェルの『電磁気学』が出て、それで大体書くべきことは尽されたからというのであった。これはタムソン自身の言明したことである。ヘルムホルツもまた出版者もこの『音響論』の第三巻を書くことを勧め、自分でもその気はあったが、遂に書かずに了った。しかし再版のときに色々な増補をした。

レーリーの初期の研究の中で、かなり永い間の手しおにかけて育て上げたものの一つは、廻折格子の問題と分光器の分解能(resolving power)に関する問題とであった。初めは大きく画いた格子を写真で縮写しようと試みたがうまく行かなかった。しかしその研究の副産物としていわゆる zone plates(光を集中する円形格子)を得た。しかし、別に発表するほどの珍しいこととも思わなかったらしい。