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レーリーきょう(ロード レーリー)
レーリー卿(Lord Rayleigh)
寺田 寅彦
「岩波講座 物理学及び科学」岩波書店、1930(昭和5)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,439 字 · 55 页
ここでもソリスベリーの別荘に住んでいた。講義のない日の午前はたいてい宅で仕事をしていた。昼飯の時には子息のためまた自分の稽古のために、なるべく仏語で話すことを主張した。それから二頭の小馬をつけた無蓋馬車をレーリー男爵夫人が自ら御して大学へ出勤し、そこで午後中、時には夜まで実験をやった。午後のお茶は実験室内の教授室で催され、夫人と姉のシジウィック夫人もしばしば列席した。茶瓶の口が欠けていたので夫人が新しいのと取換えようと云ったが、「これでも結構間に合う」と云って、そのままになった。夕食前の数分間には子供部屋をおとずれている彼を見かけた。一八八〇年七月には三番目の子息のジュリアンが生れた。その年の八月にはスコットランドに旅してアルジル公の客となり、ヨットに乗って「長湖」に浮んだり、公爵の子供の時に見たという狐火(will-o'-the-wisp)の話に興味をもったりした。
一八八一年三月に Trinity の Honorary Fellow になった。マクスウェルの後を継いだのである。丁度ヘルムホルツも学位を受けに来合せて夫婦連れで二晩泊った。「ヘルムホルツは対話ではさっぱり要領を得なかったが、しかし彼は very fine head をもっている」