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ウィタ・セクスアリス
ヰタ・セクスアリス
「昴」1909(明治42)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,941 字 · 119 页
この沼波の保証人が向島にいて、お父様の碁の友達であった。そこでお父様はこういう事を聞かれたのである。
金井は寄宿舎じゅうで一番小さい。それに学課は好く出来るそうだ。その友達に埴生というのがいる。これも相応に出来る。しかし二人の性質はまるで違う。金井は落着いた少年で、これからぐんぐん伸びる人だと思うが、埴生は早熟した才子で、鋭敏過ぎていて、前途が覚束ない。二人はひどく仲を好くして、一しょに遊んでいるようだが、それは外に相手がないから、小さい同志で遊ぶのであろう。ところがこの頃になって、金井の為めには、埴生との交際が頗る危険になったようである。埴生は金井より二つ位年上であろう。それが江戸の町に育ったものだから、都会の悪影響を受けている。近頃ひとりで料理屋に行って、女中共におだてられるのを面白がっているのを見たものがある。酒も呑み始めたらしい。尤も甚しいのは、或る楊弓店の女に帯を買って遣ったということである。あれは堕落してしまうかも知れない。どうぞ金井が一しょに堕落しないように、引き分けて遣りたいものだということを、沼波が保証人に話したのである。
お父様はこの話をして、何か埴生と一しょに悪い事をしはしないか。