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ヴァリエテ

ヴァリエテ

宮本 百合子

「改造」1928(昭和3)年1月1日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,156 字 · 11 页

青空文庫

佳一にそんな打あけ話をするくらいであった。或るとき、姉の和子にそのことを話すと、和子は、

「そうお。……佳一さん、信用があるのね、おめでとう」

冗談とも本気ともつかず笑っていった。何かぼんやりした微妙なものがあることは佳一も感じてい、榎のいるとき、いないとき、絹子の打ちとけ方に相違のあることをも、彼は心づいているのであった。

「さ、ポチゃの子、見てらっしゃい。楓ちゃん、まだか、まだかってないてたことよ」

窓際のディヴァンにかけ、佳一は冷たい紅茶のコップをとり上げた。

絹子は、臙脂色の帯の横を見せ、立ったまま二つ三つピアノで諧音を鳴らした。

「変じゃないこと? このピアノ」

「どうかしたんですか」

「大変なことになっちゃったの」

絹子は小さい声で、

「贋なんですって、ベッシュタインの」

といった。

「私閉口しているの、実は。これ買うとき、ほら榎、神戸へ行っていたでしょう。電報打ったり何かして買わせたんですもの」

「でも――本当なんですか、誰か鑑定したんですか」

「ついこの間、偶然会社の人が来て、麻布のミセス・フーシェって方のところへおとまりになったんですって。そこに、これと同じのが一台ありましたの。