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せんきゅうひゃくさんじゅうしちねんをおくるにほん

一九三七年を送る日本

戸坂 潤

「改造」改造社、1937(昭和12)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,500 字 · 23 页

青空文庫

併し日本の潜在的世論とは今日何であろう。又そういう民心を知ることが、所謂国民代表に可能なことだろうか。仮にそれを知っているにしても、国家国民の代表者としては、そうあけすけには正直に云えないわけで、結局公式代表の種類を脱することが出来ないではないか。先日或る私立大学の教授がアメリカのインテリに日本の世論を説くべく出かけるについて、向うへ行ってからこういうことを説いて呉れという注文をする会があった。私はこの教授が決して日本の真実な国民の心を代表し得ないことを知っているので、注文する気にはならなかった。恐らく彼もごく公式な日本の世論を伝えるだけに終るのではないだろうか。

それはさておき、なぜこんなことを云い出したかというと、近頃の日本の社会を診断するには、その公私二重の生活の夫々を連関させて見て行くことが、特別に必要だからである。日本の社会は刻一刻と統制されて行きつつある。経済、政治、社会生活、文化運動、皆そうだ。常識は之を日本の「ファッショ化」とも呼んでいる。こういう言葉は理論的に慎重に使わないと、随分間違いを惹き起こす因になるが、とに角この一般現象を日本ファシズムの結局の発展と呼ぶことは許されるだろう。